感染症予防法

【感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律】

 

 

「新型コロナウィルス感染症」は、『指定感染症』に指定されましたので、対策の基本となっている法律です。全体を説明しておきます。

 

(2020年1月28日、政令第11号『新型コロナウィルス感染症をして感染症として定める等の政令』

 

 感染症を重症度により5つに分類し、さらに3種類を追加しています。数字の大きい方が軽症です。

 

 

<感染症の分類>

 

【第1類感染症感染症や重症度が極めて高い危険な感染症

感染症名:エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘瘡、南米出血熱、ペスト、マールブルグ熱、ラッサ熱

 

【第2類感染症:感染症や重症度が高い危険な感染症

感染症名:急性灰白髄炎、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARS)・中東呼吸器症候群(MARS)・鳥インフルエンザ(HN1)

 

【第3類感染症:感染力や重症度は高くはないものの、集団発生を起こしうる感染症

感染症名:コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス

 

【第4類感染症:人から人への感染はほとんどないが、動物や物を介して感染する感染症

感染症名:E型・A型肝炎、黄熱、狂犬病、炭疽、ボツリヌス症、マラリアなど

 

【第5類感染症:感染症の発生・拡大を防止すべき感染症

感染症名:インフルエンザ、後天性免疫不全症候群(AIDS)、梅毒、麻疹、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(MRSA)

 

【新型インフルエンザ等感染症】

 

【新感染症】

 

【指定感染症】既に知られている感染性の疾病であって、(法の)第三章から第七章までの規程を準用しなければ、当該感染症のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるもの

 

 新型コロナ感染症は、「指定感染症」に指定されました。そのことにより、下記の第三章から第七章までの対策をとることが出来ることになりました。

 さらに「類似症患者」「無症状病原体保有者」についてもこの法律の対象とすることが出来ます。

 

 

 

 第三章 感染症に関する情報の収集及び公表 

 第四章 就業制限とその他の措置

  第十八条 就業制限

  第十九条 入院勧告、措置入院(72時間)

  第二十条 入院ーさらに10日間の入院

  第二十一条 移送

  第二十二条 退院

  第二十三条 交通の制限または遮断 都道府県知事が72時間

  第三十五条 (立ち入り)質問及び調査

  第三十七条 入院患者の医療(費用負担)

  第四十四条 感染を防止するための協力(体温などの報告、外   出自粛)とそれに対する対応(食事の提供、日常生活に必要なサー  ビスの提供、物品の支給などを行う)

 

 第五章 消毒その他の措置

 第六章 医療

 第七章 新型インフルエンザ等感染症

 

 入院については、いわゆる「措置入院」になります。「措置」とは、費用を公費で負担して病院や施設に入院・入所させることを意味します。虐待を理由にした児童養護施設や老人施設への入所、排菌している結核、精神障害者で自傷他害行為が認められる入院などがあります。

 但し、強制的な入院・入所となり、人を監禁・拘束することになるため、人権擁護の観点から72時間に制限されています。

 

 

<指定医療機関>

 

 

「特定」感染症指定医療機関       4医療機関10床

   成田、都内、常滑市、りんくうタウンの国際空港近辺の医療機関を指定しています

 

「第一種」感染症指定医療機関   55医療機関103床

  原則、「各都道府県2床」ずつ指定しています

 

「第二種」感染症指定医療機関  351医療機関1758床

 

 

 新型コロナ感染症は空気感染しないと言われています。そのため陰圧式(空気圧を低くし外部に空気が流出しないような造り)の病床に入院しなければならない訳ではありません。3月22日現在陽性患者が1000人を超えましたが、感染症病床数は上記のように限られているため、全員を入院させることが出来ませんし、その必要性もありません。国は既に2月9日時点で、一般病床などへの入院を認めました。(『新型コロナウィルス感染症患者等の入院病床の確保について(依頼)、2月9日、構成労働省健康局結核感染症課発』)感染症指定病床は重症者のための病床と考える方がいいでしょう。

 

 

 

 

 なお、感染症病床の指定基準は以下のようなものです。

<<病院の基準>>

 ○ 微生物学的検査を迅速に行える設備を有すること

 ○ 一類感染症にかかる感染性廃棄物を消毒又は滅菌する設備を有すること

 ○ 使用した医療器具等を消毒又は滅菌できる設備を有すること

 ○ 集中治療室を有すること

 ○ 人工透析を行う設備を有すること

 ○ 原則300人以上収容する施設を有すること

 ○ 診療科に内科、小児科、外科を有し、それぞれに常時医師がいること

 ○ 感染症の医療の経験を有する医師が常時勤務していること

 ○ 重症の救急患者に医療を提供する体制が常に確保されていること

 ○ 院内感染対策委員会が設けられていること

 

<<病室の基準>>

 ○ 個室(感染症病床)であること

 ○ 前室を有すること

 ○ 病室内にトイレ、シャワーを有すること

 ○ 病室の床面積は15㎡以上であること

 ○ 病室の天井の高さが2.4m以上であること

 ○ 内部の空気が外部に漏れにくい構造であること

 ○ 外部と前室、前室と病室の扉が同時に開かないこと

 ○ 外部へのベッドの出し入れが容易なこと

 ○ 前室と病室の間の扉は手の指を使用しないで開閉できること

 ○ 窓は気密性が高く、非常時にのみ開くことができること

 ○ 床、壁は清掃、消毒が容易な構造であること

 ○ 天井は清掃が容易な構造であること

 ○ 空調は全外気方式又は循環器方式とし、当該病室等に再流入させないフィルターを備えていること 

 ○ 特定区域(第一種病室等の区域)に対する給気設備は、当該病院の他の区域と同一としないこと

 ○ 給気設備には、外部に感染症の病原体を飛散させないフィルターを有するか、空気の逆流を防止する機能が設けられていること

 ○特定区域の排気は、それぞれの第一種病室等ごとに行われること

 ○ 排気設備には、外部に感染症の病原体を拡散させないフィルターを有すること

 ○ 陰圧制御が可能であること

 ○ 特定区域内の換気を十分行えること

 ○ 特定区域のための排水処理設備を有すること

 ○ 第一種病室等の給水、給湯の設備は、逆流を防止する機能を有すること

 ○ 病室及び前室にそれぞれ手洗い設備を有すること

 ○ 手洗い設備の水栓は、指を使わないで操作できること

 ○ 面会設備を有していること

 ○ 病室に電話、テレビが設置していること

 ○ 前室に手袋、マスク、予防衣その他の必要な器具等を専用に収納できる場所があること ○ 吸引機器は、これを介して他の患者等が感染しない構造であること

 ○ 照明設備は、空気が漏れにくい構造とすること